9/22
Dさんからの電話で目を覚ます。「朝食を食べよう」とのことでしたが、さっき食べたばかりで眠いし、気が乗りません。一度は「いらない」と言ったのですが、寝ていても仕方ないので、仮眠のみのままノソノソ朝食へ。
外へ出ると、日差しが痛いです。空気は澄んでいますが、太陽光線のパワーもカイロより一段強力です。
朝食はフールとエーシとチーズやサラダといった、よくあるホテルの朝食メニュー。あんまりおいしくなかったですが、どのみち食べる気がなかったので、ちょっとつまむだけで終了。
大通りまで一緒に出て、マイクロバスを拾います。「ハリーグ・ッナアマに行けばなんでもある」と言い残して、彼は仕事で途中で降りてしまいました。
超マニアックですが、シャルム・ル=ミーヤの大通り近くに、漫画太郎の作品のババァに似ている岩があります。わたしの中で「ババァロック」と名づけました。

シャルム・ッシェーフの画太郎っぽい岩 posted by (C)ほじょこ
ハリーグ・ッナアマ(ナアマベイ)到着。もう、絵に描いて額に入れたような高級ビーチリゾートです。

シャルム・ッシェーフのハードロックカフェ posted by (C)ほじょこ

シャルム・ッシェーフのビーチ posted by (C)ほじょこ
タイのプーケットのような場所を想像していたのですが、まったく比較にならないほどゴージャスです。まわりはヨーロッパ人ばかり。特にイタリア人が多く、英語に次いでイタリア語が公用語のようです。あられもない格好の欧米人に混ざり、時たま湾岸のアラブが完全武装で歩いている、という、面白い風景になっています。
マリンスポーツに興味がないし、通りを歩いていても殺人的に暑いだけなので(夜は天国)、「どうしたものかなぁ」と、とりあえず海のそばまで行きます。
海は素晴らしく澄んでいて、テレビでしか見たことのない極彩色の魚が普通に泳いでいます。それを見たら、大して興味のなかったビーチが段々素敵に思えてきました。

シャルム・ッシェーフの海 posted by (C)ほじょこ
グラスボート(底が透明になっていて海の中が見られる船)があると聞いていたので、うろうろしていると、マグディーと名乗るおっちゃんが声をかけてきます。グラスボートもやっているようなので、値段を尋ねると40ポンド。事前に仕入れていた相場価格より安いので、乗ってみることにします。
ボートの乗客は、エジプト人が多いです。ムスリマは水着になれないし、結果的にグラスボートに流れてきているのでしょう。わたしの他は、サウジの男性が一人と、後は全部エジプト人の家族連れでした。

シャルム・ッシェーフのグラスボート内部 posted by (C)ほじょこ
動画で見ると、海の魚より船のエジプト人のはしゃぎっぷりの方が面白いです。
ちなみに、このサウジのアラブは、普通にエジプト方言で話していて、会話に不自由ないようでした。エジプト人が聞いたら「なんちゃってエジプト方言」なのかもしれませんが、わたしにはまったく識別つきませんでした。エジプト方言は、映画やテレビの影響でエジプト以外でも通じることが多い、とされていますが、この人が元々エジプト方言を話せるのか、エジプトで仕事でもしていて話せるのかはよくわかりません。
グラスボートの後、まったくやることもないし、高いので飲食店にも入りたくないので、あてどもなく日陰を求めてさまよいます。
くつろいでいるおっちゃん二人が声をかけてきたので、お邪魔すると水をおごってくれました。
ハーリドと名乗るおっちゃんは、わたしがLMアブヤドを勧めても「俺はマルボロしか吸わない」とか言うし、モハンディスーンに家があるとか言ってるし、相当お金持ちな感じです。まぁ、ここで働いていれば、エジプトのどこで稼ぐよりリッチになるのは簡単でしょう。出身はアスワーンのようです。
一緒に新聞を読んで遊びます。ナイル上流で取水口が建設されているのにイスラエルがかんでいるとか、そんな話をおっちゃん二人とダラダラしました。
ハーリドさんとバイバイしてから、またウロついていると、例によって男が声をかけてきます。客引きは非常に多いのですが、「お茶しよう」とか言っているし喉も渇いていてしんどいので、ナンパを利用してタダメシでもゲットするかと着いていったら、よくあるオイル屋のキャッチでした。
でもエアコンきいてて涼しいし、お茶もタダなのでテキトーにダベります。ドバイに両親がいるとのことです。適当に調子を合わせていると、ナンパはダメだとわかったのか、オイルの売り込みが来ます。試すだけならタダなので腕に塗ってもらったら気持ちよかったので、ものは良いのかもしれませんが、1グラム1ポンドとかすごいことを言ってくるし、買う気ゼロです。
「いらん」と言うと「効果がなかったら、もう一度来たときに一番大きい瓶をあげる」とか言いますが、そんなことでシャルムに戻ってくるバカはいません。断ると「マッサージしてあげる」とか、これまたよくあるパターンに。
こういう「金かセックスか」が渦巻く風景にはうんざりしますが、考えてみれば世界中どこでも一皮剥けば世の中そんなもんだし、エジプト人は露骨でわかりやすいだけ、むしろマシかもしれません。一方で、金でもセックスでもないモチベーションで助けてくれる人も大勢いるし、すべてが極端なだけで、本質は世界共通な気もします。
マッサージは丁重にお断りし、無料でお茶とオイルお試しを頂戴し、トンズラしました。
通りでまたナンパ。これは通例なのですが、この男がイスラエル人でした。
シャルムにはイスラエルからの観光客が大勢いますが、イスラエル人と接触したのは生まれて初めてでした。
ただ彼は、英語もアラビア語も片言以下しか喋れず、「何がしたいねん!」とこっちがツッコむくらいコミュニケーションが取れません。彼も歯がゆいようで、手首にはめたホテルのキーを「ここ、ここ」と見せてきます。そんな犬を手なずけるような方法についていく女が、世界中のどこにいるというのでしょうか。
さすがシオニスト、やることが半端ないです。
夕方にオールドマーケットに戻ります。昼間はグッタリしているしかないオールドマーケットですが、夜は一変してワンダーランドへと変貌します。

シャルム・ッシェーフのオールドマーケットの夜 posted by (C)ほじょこ
素人らしく「地球の歩き方」情報からナグマト・シーナーゥというシーフードレストランに。
オールドマーケットの南のゲートを入ってすぐ右に曲がり、ちょっと行った左側です。イル=マスリイーンの並びです。
店の雰囲気は小奇麗すぎてファミレスみたいで、少し悪い予感。
昨日食べ損なった(というかこの日の朝ですが)ボリ・マシュウィーを食べます。サラダ、エーシ、タヒーナ、ロズはデフォルトでついていて、40ポンド。

シャルム・ッシェーフのヌグマト・スィーナーッのボリ・マシュウィー posted by (C)ほじょこ
ぼったくりとまでは言わないですが、内容の割りには高いです。メニューもないのでボラれたかもしれませんが、シャルムという前提なら相場的にあり得る価格なので、文句は言いませんでした。
魚がないことさえ受け入れるなら、イル=マスリイーンの方が値段も味もずっと良いです。
暇でぶらぶらして、ホテル近くのショッピングモールに入っているカフェでアシール・ライムーンを飲む。10ポンド! しかも異様に甘くて最悪。
この店にはアイスクリームもあったのですが、25ポンドという凄まじいお値段でした。
シャルムの海はキレイだし、お金さえあればゴージャスに遊べますが、小奇麗さを求めていない貧乏旅行者にはあまり楽しい場所ではありません。帝国主義者どもの退廃ぶりにも、客引きのしつこさにもグッタリします。
この日一日の経験の中では、ハーリドおじさんとのおしゃべりが一番楽しかったです。
部屋に戻って寝転がりながらホテルで勉強しました。勉強は心が落ち着きます。
ハリーグ・ッナアマ(ナアマベイ)、グラスボート、オールドマーケット
シナイ半島の旅