「チッ」という舌打ちの意味

 エジプト人はよく「チッ」と舌打ちをします。
 授業中でこちらが間違えたりすると「チッ」と舌打ちされるので、最初は(日本でエジプトの先生に教わり始めた頃)びっくりしました。
 この舌打ちは「ノー」というだけの意味で、別に怒ったりバカにしているわけではありません。前に先生とこの話題になって「日本では絶対やらない方がいいよ。バカにされていると思って怒られるよ」と言いました。
 先日、こちらに来て一週間の日本人学生の方とお話する機会があり、彼も「間違えるとすぐキレられる」と言っていたので「あれは怒ってるんじゃなくて、ただ『ちがうよ』と言っているだけだ」と説明しました。
 今日、さらに面白い話を聞きました。
 エジプトでは舌打ちが「ノー」の意味ですが、スーダンでは逆に「イエス」を意味するそうです。
 エジプト人の先生がスーダンに行って講義し、講義の内容がわかったか尋ねたところ、皆一様に「チッ」と舌打ちするので、さっぱりわかっていないのだとまたやり直した、というエピソードを伺いました。
 ジェスチャーや仕草といったノンバーバルな記号は、グローバルだと勘違いされることが多いものですが、舌打ち一つとっても意味が全然違います。
 エジプトでよく目にする(耳にする)ものとして、「コッコッコッ」という感じに口蓋?を鳴らしたり、「プスプス」という音を唇で出すことがありますが、呼びかけや女の子をひっかける時、何かを促す時に使うようです。
 非常に多用されるのが、右手を花の蕾のような形にして、下へ引っ張るような動きを繰り返すもの。「ちょっと待って」とか「ゆっくり」みたいな意味で、とても便利です。
 日本で普通なことで、こちらで失礼になるものとして有名なのは、左手で挨拶することですが、とりあえずエジプトでは、挨拶以外はみんな普通に左手使っています(伝統的なアラブ社会では右手だけで食事する)が、挨拶だけは右手を上げるようにしておいた方が安全だと思います。
 また、足の裏を相手に向けるのも失礼と聞きますが、敢えてやる状況もないので特に困りません。欧米人のようにやたら足を組むのは行儀が悪いみたいですが、日本人も同様に偉い人の前で足を組むのは無礼と認識している(とわたしは思っている)ので、別に不自由はないです。
 何か知らない間に失礼なことをしているかもしれませんが、今のところ幸か不幸か指摘されたことはありません。指摘されてからでは手遅れですが・・。

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