アラビア語の辞書、Hans Wehrの評判

 アラビア語学習者なら誰でも持っているHans Wehrの辞書。もちろんわたしも手元に置いていますが、正直、あまり好きではありません。英語の訳語がただ羅列してあるだけで、例文も同義語も載っていません。元がドイツ語への辞書なので、英語版作成の際に誤訳が生じた、という話も聞きます(それがわかるほどわたしは熟練していませんが・・)。大体、所詮は英語だって日本人にとっては外国語だし、結局、何となくぼんやり訳語の羅列を眺めてイメージを掴む使い方しかしていません。
 M先生とHans Wehrの話題になった時、彼も「あれはダメだ」と言っていました。それは「アラビア語-アラビア語辞書を使え」という意味でしょうが、そうだとしても同意です。
 と、書いて今気が付いたのですが、ほとんど一日中勉強しかしていないにも関わらず、Hans Wehrをはじめ、日本語への辞書も、カイロに来てから一度も使っていません。驚くべきことです。
 では何を使っているかというと、Personal Dictionaryに入れたアラビア語-日本語辞書データなのですが、それも自習時にちょこちょこ使う程度で(これはわたしが怠慢なだけ)、授業中は使いません。先生が嫌がるし、そもそもそんな余裕ありません(笑)。
 授業中にどうしても類推できない単語があったら、先生に直接尋ねて、アラビア語の中で解説してもらいます。類義語や反対語を教えてもらったり、用例を尋ねたりします。
 この時、「いかに適切に類義語や例文を提示できるか」に、外国語の先生の力量というのは端的に表れると思います。良い外国語の先生とは、一つには、生徒を「この人と話したい」という気持ちにさせる人、一つには良い例文を臨機応変に作れる人でしょう。
 そして話を聞いていて「あ、アレのことや!」と意味を閃いたら、こっちも例文をいくつか作って、「これって自然? OK?」と確認します。それで「その通り」と反応があれば、大体その意味で合っています。
 もちろん、動植物の名前とか、説明の難しい概念などは、辞書を使うべきですし、一応1授業後は辞書で再確認していますが、辞書の訳語イメージと実際の用例が微妙にズレていることもありますし、結局使いながら「こんなもんやろ」と落としどころを見つけるしかないと思います(初級段階は別。最初は絶対母語による説明が望ましい!)。
 これはどんな言語でも同じでしょうし、常識かもしれませんが・・。
 ちなみに、動植物の名前やら、抽象概念を例示する状況を説明するために描いた変な落書きイラストで、わたしのノートは一杯です(笑)。

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