起床、朝食、宿題。
夜活動して少しだけ寝て朝起き、昼過ぎに少し仮眠を取る、というエジプト的リズムに体が適応してきたのか、前より寝覚めがよくなってきました。この暑さでは、睡眠分割式の方がずっと体も楽で合理的です。
ボロボロにあれていた脛の辺りの皮膚も、軟膏のお陰かちょっとずつ良くなっています。Betnovateという保湿剤みたいな軟膏です。ちなみに、普通のボディクリームでは、いくつか試した結果、Vaseline Intensive Care Aloe Cool&Freshというのが、割とわたしの肌には合いました。エジプトで肌荒れに苦しんでいる日本人の方は、一度試してみて下さい。
ただの推測ですが、「暑くて乾燥している」という気候だけでなく、風に運ばれてくる砂の細かい粒子みたいなのが肌にダメージを与えている気がします。海岸なんかでも砂焼けしたりしますし、似た現象ではないでしょうか。
宿題が結構多かったので、苦しみながらやっと終えて、少し仮眠を取ろうかと思ったところでS先生から電話が。A先生が急用で来られず、M先生が娘の病気で村に帰ったとかで、要するに今日は先生がいない、という連絡です。休みでもいいし、いつもの半分の時間(つまり一人の先生分の時間)S先生が教えても良い、とのことだったので、S先生の授業をお願いしました。休みたいと思いつつ、丸一日授業がないとかえって不安です。
急に時間ができてしまったので、ネットにつないでいくつか雑用をこなします。ネットブックで回線速度も低速なので、非常に効率が悪いです。日本のネットは素晴らしいです。
ためしにダーリンの携帯にメールを入れてみたら、久しぶりにSkypeで話すことができました。しかも今回はビデオ通話成功。嬉しいです。
先生と日本からSkypeで話していた時は、いつも画質や音質の悪さに悩まされていて、それが日本とエジプトの距離や回線状況によるものなのか、単なるクライアントの貧弱さによるものなのか、わかっていなかったのですが、純粋に日本エジプト間の遠さのせいらしい、とわかりました。
ダーリン、カイロ在住の夢が膨らんでるけど、一番大事なのはあなただから心配しないでね。
夕方にマタァムでチーズサンドイッチを食べる。
肉が嫌いなのでこのチーズサンドイッチを頼むことが多いのですが、これはサンドイッチ類の中で一番安いので、一石二鳥です。
しょっちゅう食べていると飽きそうですが、同じチーズサンドイッチを頼んでも毎回違うものが出てくるので飽きません。チーズとパンがあることだけは確かですが、パンの種類や大きさ、一緒に出てくる野菜、ポテトがついているか否か、その辺は全然一貫性がありません。多分、その時の当番の人が、たまたまその辺にあったもので「チーズサンドイッチこんなもんやろ」と作っているのだと思います(笑)。
今更ですが、礼拝の方角についてハッとする。
日本からだと大体西の方に向かって礼拝しますが、カイロからだと東よりちょっとだけ南の方がキブラになります。なんだか不思議な気持ちになります。
久しぶりにS先生との授業。といっても、いつもM先生・A先生とやっている内容を急に代講するのも難しいので、ほとんどお喋りに終始。
アーンミーヤについての初歩的講釈を受けるものの、到底意思疎通に使えるレベルではないので、結局フスハーで話してしまいます(フスハーなら困らないわけでは全然ありませんが)。でも、ちょっとしたポイントをいくつか教わるだけで、少しずつ一般人の言葉が聞き取れるようになってきました。
日本語のアラビア語教科書は、フスハーでも基本的なものしかありませんが、アーンミーヤとなるとお気軽入門書の類しか存在しません。それでも、出発直前に「一応買っておくか」と入手しておいた本が結構役に立っています。『まずはこれだけ エジプト・アラビア語』という本です。ラテン文字とカタカナ表記だけで超基本をまとめたものですが、ないより大分マシです。フスハーが多少なりともできる人間にとっては、アラビア文字で書いていないのは大きなマイナスなのですが(アラビア語で書いてあれば語根が直感的に把握できるので、意味が類推できる)、入門書なので贅沢言いません。
先生と話ながら、聞こえてくるアーンミーヤを自分なりに書き留めてから修正してもらうと、語根とフスハーから変化プロセスがパッと開けて「あぁ、そういうことか!」と納得します。でも、いざ話そうとするとちっとも話せません(笑)。
一応授業時間が終了し、S先生にナイル川河畔のお洒落なお店に招待される。
いつもわたしがうろついている戦後闇市みたいな街外れの広場とは全然違い、すべてがキラキラ輝いている素敵エリアです。車で十分程度の距離とは思えません。これからは、タクシー代使っても、絶対授業後こっちの方に遊びに来よう、と変な決意を固めました。
ちなみに、昨日わたしが横断成功した道は、エジプト人にとっても危険度の高い道路のようで、横断能力を評価して頂けました(笑)。
ナイル川の夢のような風景を見ながら、ウンム=アリーという甘味をご馳走になります。アラブ世界でもエジプト発祥の甘味で、今ひとつアラブの甘味を受け付けないわたしでも、おいしく頂けました。
ナイル川には、いかにもエジプト的なド派手電飾でキンキラに飾った遊覧船がいっぱい航行していて、船の上で踊りまくる「船上結婚披露宴」の風景もよく見られるのですが、先生に「日本にもこういうのがあるか」と聞かれました。隅田川なんかには同様の趣旨の船がありますが、大分趣が違います。「あるけど・・こんな色とりどりじゃないよ」とモゴモゴ答えました。
ちょっと「仕事」の話も含め、夜も更けるまで延々と話し続けます。まだまだ問題だらけのアラビア語で喋りまくり、結構シリアスな話題にも及び、頭が朦朧とするくらい体力消耗しました。
アラブ人は本当にタフです。S先生はおなかのでっぷり突き出したいかにも「シャチョー」という感じのアラブ起業家なので、とりわけタフなのかもしれません。商社などにお勤めの方は、こういう人種を相手に果てしない「商談」をこなさなければならないのですから、何より体力がないと勤まらないでしょう。
ただ、お酒が入ることはないですし、薦められるのも食べ物かタバコかシーシャで、女性にはとにかく親切だし、個人的には日本の宴会なんかよりずっと心地よいです。お酒も賭け事もなしにハイになって踊りまくれる文化の方が絶対楽しいと思います。
「お酒とカラオケ」と「シーシャとダンス」を比べるなら、どう考えたって後者でしょう。
それにしても、さすがフスハー教育のプロだけあって、彼のフスハーは明晰判明で、語彙やスピードもこちらに合わせて適度に調整してくれますし、ほとんど一言一句逃さず聞き取ることができます。一般人の言葉もこれくらい聞こえるようになると、夢のようなのですが・・。
話の内容からお店の雰囲気、ナイル川の眺め、すべて「これがアラブ!」という感じの濃厚なキラキラ感に溢れる夜でした。
エジプトの肌荒れ、ウンム=アリー、アーンミーヤの入門書
エジプト留学日記