夜のナイル川沿いを散歩して犬に追いかけられる

 朝食後、そのままマタァムで勉強。元々夜型なのに宵っ張りのカイロっ子のノリに引っ張られて、ますます朝が辛くなり、午前中は頭が回りません。ノロノロとなんとか宿題を片付けます。
 ここ数日動き回って疲れがたまってきていたので、この日は昼間は外出しないことに決めていました。宿題を終えた後は、ロビーでネットにつなぎ、色々と雑用を片付けます。
 その後部屋に戻り、また少し勉強した後、一時間ほどお昼寝しました。
 夕方から授業開始。
 A先生はのんびりペースで、あんまり教科書が進みません。でも、細かいところを丁寧に説明してくれるので、安心して勉強できます。
 二つの授業の合間は一応休憩のはずなのですが、結局お喋りしているので、結果として勉強になってしまっています。A先生は授業が終わると「アーンミーヤでいこう」というような人なので、期せずしてこれまた役に立ってしまいます。一緒に出かける約束をして、「ストリートではストリートの言葉で話そう、その後フスハーで言い直すから」と嬉しい提案をしてくれます。フスハーならどんと来い、というわけでは全然ないので、言い直されてもわからない可能性大ですが・・。
 M先生は対照的にパキパキした授業で、喋るスピードも全然違います。でも集中力さえ持続できれば、大体のことは聞き取れます。今日は先日と反対に「幸せ」についての文章を読みました。
 M先生も授業が終わると、パタンと教科書を閉じて、なぜか家庭の事情を相談されてしまいました。「内緒だけど」という前提なので、ここには書けません(笑)。まぁ、どこの世界も悩みは似たりよったりです。
 M先生は、最初は杓子定規でノリの悪い人かと思っていたのですが、真面目で繊細な人なんだ、と段々わかってきました。秀才肌で、子供の頃は逆にいじめられたんじゃないか、という感じです。色白だし、仕草もどことなくフェミニンで、タバコも吸わないし太ってないし、エジプト男性っぽくありません。「ガツン」と言えないエジプト人です。いじると結構可愛いところがあるので、段々好きになってきました。
 教え方も合理的だし、日本でアラビア語教師をしたら、人気が出るタイプではないかと思います。「エジプト人好きの日本人女性」というより、普通の女性に結婚対象として見られそうな感じです(既婚者ですが)。個人的には、豪放なタイプの男性に憧れつつ、結局付き合って落ち着くのは物静かでフェミニンなタイプの人なので、この人を好きになる人の気持ちはわかります。
 家庭の悩み相談に乗っていたら、ボスのS先生がやって来ました。お金の問題とかで相談することがあったのです。この人は本当にボス然としたボスで、M先生もボスのジョークのフォローに気を使っている感じです(笑)。日本の会社と一緒でしょう。
 ちなみに、M先生はタバコを吸わないのですが、ヘビースモーカーのS先生に勧められて困る、というボヤキを聞いたことがあります(笑)。わたしにも「タバコは体に悪いしやめるのが大変だ」と言いつつ、必ず薦めてきます(これは礼節の一部でもあるので、薦められたら丁重に断れば良いのですが)。
 すべて終了で11時すぎくらいでしたが、こちらの感覚だと「まだ夜はこれから」なので、涼しい夜中に散歩にでかけます。まだ大勢遊んでいる人がいるナイル沿いを散歩して、橋の上でフンモス(ひよこ豆)のトマト煮みたいなのを食べます。トマト煮込み系の大好きなわたしにとっては、こういうエジプト料理(というかファストフードですが)は有難いです。橋の上は深夜にも関わらず人でごった返していますが、別に若者が夜遊びしているのではなく、子供からおばあちゃんまで、老若男女を問わず宵っ張りです。
 さらに散歩していると、ダルそうに寝ている犬がいたので、写真を撮りました。その直後、通りにすごい勢いで車が入ってきて、犬もわたしもびっくりして飛びのきました。さっきまで気持ちよさそうに寝ていた犬が猛烈に吠え出して、なぜかわたしに向かってきます。とんだとばっちりです。
 なんとか距離をとって「もう大丈夫」と思い歩いていたら、一度戻った犬がまた凄い勢いで走ってきて、怒って向かってきます。さっきの場所から100メートル以上は離れているのに、怒りが収まらないようです。これには本当にびっくりして、ほとんど決死の戦闘体勢に入っていたのですが、道路の向こう側にいたエジプト人男性が果敢に飛び込んできて追っ払ってくれました。超カッコいいジェントルマンです。命拾いしました。
 S先生は「犬には話しかけるな」と言っていましたが、話かけなくても怒られることがあるので、皆さん気をつけてください。遠くからそっと見守るだけにしましょう。
 スーパーに寄って保湿剤を買います。
 こちらに来てから、気候の違いと汗のかきすぎのせいか、肌の調子が良くありません。寝ている時に無意識に足を掻いてしまったところが、すごい傷になっています。かなり凹みます。保湿剤をいくつか試していますが、これというものに出会えません。汗疹対策が必須です。ダニ対策に気をとられてそこまで考えていませんでした。
 それにしても、スーパーの万国変わらない雰囲気には、悔しいけど安心します。海外に行ってマクドナルドに入るような人が信じられないのですが、結局似たようなショボい安心感なのだと思います。
 スーパーにはお魚もあるので、キッチンのあるフラット住まいでないのが悔やまれます。何の魚だか良くわかりませんが、まぁ火を通せば食べて死ぬこともないでしょうし、焼き魚にでもしてみたかったです。
 ちなみに、わたしの見た範囲のスーパーはほとんど24時間営業で、スーパー以外にも終夜営業かかなり夜遅くまでやっているお店が多いです。終夜営業というと、先進国のコンビニみたいなものに限られるイメージがありますが、カイロの夜は超アクティヴなので、むしろこっちの方が元祖なのではないかと思います。
 東京が「眠らない街」だとしても、実際のところ活動的なのは新宿とか大きな街だけでしょう。カイロは普通の住宅街みたいなエリアでも、かなり夜遅くまで人通りが途絶えません。あの人たちは一体いつ寝ているのでしょう。とにかく体力が半端ないです。
 ホテルに帰って寝る前にネットをチェックしたら、ダーリンのSkypeがオンラインになっています。日本は朝のはずなのに、びっくりして電話したら取ってくれました。めちゃくちゃ嬉しいです。出社前だったので長くは話せませんでしたが、やっぱりダーリンが世界一大事だ、と思いました(ノロケ)。

タイトルとURLをコピーしました