カイロの身体障害者

 カイロで生活していると、身体障害者の方が働いているのを非常によく見かけます。
 まず、身障者の絶対数自体が、日本よりかなり多いと思います。
 理由は色々あるでしょうが、とりあえず、カイロの交通事情をご存知の方なら、一度も交通事故に遭わずに成人するのも大変、というのはすぐわかるでしょう。危険な仕事に従事している人も多いので、仕事中の事故、ということもあるはずです。また、最近まで何度も戦争していたので、元軍人の方もいらっしゃるでしょう。
 次に、怪我をしても十分な医療が受けられない、という可能性があります。日本なら障害を残さずに治療できたものが、適切な医療が欠けた結果、障害として残ってしまっているケースがかなりあるように思います。「医療の欠如」というのは、医者が全然いないとか医療レベルが低いということではなく、単に医者が高いのでそう簡単にかかれない、ということです。エジプトのお医者さんは、料金先払いしないと診察もしてくれませんし、信じられないくらい高いです。
 加えて、障害を負っているからといって、部屋に閉じこもっていては生きていけない、という現実もあるでしょう。こうした人たちに対する行政的・システム的援助は、日本でもまったく不十分なくらいですから、エジプトではまずアテにできないはずです。
 ただ、これについてはプラスの側面もあって、みんな障害者が働いている姿に慣れきっていますし、普通の人が率先して手助けしています。このエジプト人の「老人と障害者を労わる」姿勢には、素晴らしいものがあります。一見チンピラみたいな街の若者が、駅の階段で老人の荷物を持ったり手を引いている姿をよく見かけます。いかにも人が良さそうな人が善意を発揮していても驚きませんが、どちらかというと老人から引ったくりでもしそうな風情の男が(失礼w)、おじいちゃんの手を引いている姿には感動します。
 交通事情や医療制度など、改善の必要な点は山ほどありますが、障害者が普通に働ける、働いている姿を誰も奇異に思わず、必要な時には誰もが率先して助ける(必要じゃなくても必要以上に助けるw)、という市民の精神には、本当に頭が下がります。
 それに、エジプトの障害者の方は、下手な健常者より運動神経が良いです(笑)。元々彼らの身体能力は、全般に非常に高いと思うのですが(低い人は子供のうちに淘汰されるのかも)、片脚のない人が道路を走り回りながら車両誘導の仕事をしていたりして、こんなことを言って良いのか迷うのですが、すごくカッコイイです。
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廃墟と影 posted by (C)ほじょこ

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