スポーツの裏側

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スポーツの別の側面 個人レッスンと職務外の選手権
 サッカーから体操まで、若者たちはスポーツの大会でプレイすることを夢見るものだ。ある者たちは「個人レッスン」以外に選手権への道をみつけられず、また別の者たちは世界ランキングや国際的なメダルを手にし、他の者は「ベンチの上」で終わる。
 ある者たちは危険な病に犯され、ある者たちはトレーナーのせいでプレイが嫌になり、別の者たちは、競技を続けるものの、悪魔の誘惑に負けておざなりになっていく。
 誰も見たことのないスポーツの世界の舞台裏を、本紙がお届けし、選手たちの、競技とは別の面を論じる。

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「出張」トレーナー チャンピオンになりたかったら、有難うと言うんだ
 化学のクラスと異なり、このジャンル、スポーツの個人レッスンというのは、新しい考えのようだ。両親の要望、子供たちのトレーナ、「教育センター」これらは皆「メダルへの道」のためだ。薄給のトレーナー、スポーツが未来の唯一の希望になった青年、教育の重圧を受ける両親、「スポーツ訓練」はこの円環を閉じるものなのだ。
 「お金のあるヤツは立派なチャンピオンになり、そこそこの金しかないヤツはそこそこの選手になり、お金のないヤツは何にもできない」。このようにアイン・スィーン(私営スポーツクラブオーナー)(訳注:名前はイニシャル)は、「スポーツコースビジネス」についての話を始めた。「プライベートレッスンをやっていないクラブなんてありません。トレーナーと私営クラブにとっては、割の良い仕事だからです。けれども、同時に、トレーナーたちにとっては骨の折れることでもあります。なぜなら、彼らはクラブで働いて、それからレッスンを行っているのだから。最大の困難は保護者たちにのしかかっています。息子たちをチャンピオンにするのに、大変な出費をしているのだから。わたしも、このレッスンに苦しめられている保護者の一人です。
 わたしは三つのクラブのメンバーだけれど、息子をチャンピオン級の体操選手にしてくれるクラブは一つもありませんでした。そこで個人レッスンを頼んだのです。実際、息子はチャンピオンになりました。しかし、レッスンと、それからこのスポーツによる怪我の治療と処置費で7年間で700,000ギニーを支払ったのです」。
 クラブのオーナーというのは、とても特別な立場だ。子供のためにこの金額を支払った後、レッスンの別の側面を見つけ出した。「息子のレッスン中、わたしはいつも一緒にいたので、このスポーツの技術的な基礎についての知識が付いたんです。またほとんどすべてのトレーナーたちと知り合いになりました。そこで、私営体操クラブを作る、という考えが浮かんだんです。利益は確実でした」。
 匿名希望のある体操トレーナーは、以前は別の考えを持っていた。「トレーナーを責めるべきではありません。責めるべきは、教育の腐敗です。学校でスポーツ教師を重視せず、生徒の才能を支えることができないのです」。
 スポーツ国民会議と教育省スポーツ連合は、海外で行われているように、学生と優れたスポーツ選手養成のための組織を設立すべきだ。しかしここでは、スポーツ選手たちは一つ一つ物事を乗り越えていかなければならない。彼らの能力を越えるものに直面しているのだ。最初にクラブで、いつも安月給を嘆いていて、良い選手の育成に興味を持たないトレーナーと練習する。それからプライベートレッスンを選ばざるを得なくなる。別のトレーナーかもしれないし、クラブの同じトレーナーかもしれない。最終的な敗者は選手だ。というのも、練習ばかりで選手生命を短くし、余計なことが多すぎて時間を浪費してくからだ。
 プライベートレッスンの世界には、地域格差があるようだ。ムハンマド・イル=バーズは語る。「わたしたちトレーナーは、選手の参加料を決めているが、この価格は地域によって異なる。例えばナスル・シティの価格はギザより高い。しかし、サッカーの参加料は安いと言っていい。水泳やテニスの時間あたりの価格は非常に高額だ」。
 サッカートレーナーのワリードキャプテンは、その個別授業で、選手への精神論を用いている。「サッカーにはコネはない。君たちの努力とサッカーへの愛で、みんなが愛する選手になるんだ。成功すれば、いつかガマール・ムバーラクやアラーゥ・ムバーラク(訳注:ムバーラク大統領の子息)のようになれるかもしれない」。ワリードはプライベートレッスンについて、短く語る。「僕たちはプロなんだ。この子供たちはグラウンドの財産で、この仕事は未来のためのものなんだ」。
 バスケットボールトレーナーのアイマン・アブドゥルムンイムもまた、こう語る。「プライベートレッスンは、トレーナーにとっても選手にとっても、決定的なものになってしまった。だが、選手をゆすってクラブや特別な体育館で練習するトレーナーもいる。もちろんこれは詐欺だ。私営のセンターが広がるに連れ、いくつかの体育館は有名な選手の名前を使って、彼が学校のオーナーだとか、トレーナーをやっているなどと騙り、入会者を多く集めようとしている」。

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