カイゼンせよ、さらばアッラーは慈悲を与えられん
「カイゼン」とは、日本のストラテジーであり、二つの言葉から成っている。「カイ」は変革を意味し、「ゼン」は「より良く」を意味し、あわせると「カイゼン」、つまり継続的改良となる。
これが世に現れたのは1984年、日本のエキスパート今井正明によってで、この時かれは、人生のターニングポイントの一つにいた。この理論は、次の考えの上に立っている。「小さな一歩が人生を変えることができる」。例えばこうだ。何かの習慣、例えば喫煙をやめようという時、この決定は断固たるもので、この習慣に人を結びつけるすべてを遠ざけることを課すものだろう。これを成功させられる人はいるが、ほとんどの人は失敗する。なぜなら、突発的な情熱は、時と共に衰えていくからだ。
カイゼンは、それまでの考えをきっぱりと拒む。なぜならそれは、「僅かな少しずつの変革」だからだ。このことは同じ例から理解することができる。
何らかの習慣、例えば喫煙をやめようとする場合、我々は、この決定に十分な時間を与えなければならない。もし煙草を一箱吸っているなら、翌日には一本だけ減らし、また次の日には二本減らし、という具合だ。
変革が段階的であれば、継続の機会はより強力になる。
つまり、
活動またはプロセス = 有益な作業 + 無益な作業
カイゼン = 有益な作業 - 無益な作業
ということだ。
カイゼンは「二つの言葉」ではなく「二つの文字」なのですが、そこを説明し出すと大変なので、「言葉」と言っているのでしょう。
わたしは、この手の「経営哲学」的な話が大嫌いなので、カイゼンについてもその単語を耳にした程度しか知識がないのですが、「ちょっとずつやるのが大切よ」な話は、イスラームの文脈で何度も聞いています。
التدرج في العبادة(信仰における段階性)と言い、「何でも一遍に完璧にしようとするのはいけない、ちょっとずつ良くしていくのが一番良い」という意味で、多分ハディースかクルアーンのアーヤに参照先があるはずなのですが、具体的には覚えていません。すいません。
この記事で面白いのはタイトルで、「カイゼン」から作ったكيزنという造語の動詞を、「カイゼンせよ」と複数への命令形に活用させています(タカイジヌー)。kaizenがアラビア語に定着する日も来るのでしょうか。
『カイゼン―日本企業が国際競争で成功した経営ノウハウ』今井正明

