イル=バラーダイー(エルバラダイ)、大統領選での政党擁立を否定、憲法改正を訴える

 国際原子力機関(IAEA)前事務局長で、次期大統領候補の一人と囁かれるイル=バラーダイー(エルバラダイ)氏が、独立系候補としてのみ立候補する意志のあることを表明し、話題になっています。
イル=バラーダイー(エルバラダイ)、大統領選での政党擁立を否定、憲法改正を訴える
イル=バラーダイー(エルバラダイ)、大統領選での政党擁立を否定、憲法改正を訴える posted by (C)ほじょこ

イル=バラーダイー、本紙との単独会見にて「大統領選にはいかなる党の下にも立候補しない・・人民とともに憲法改正の平和的運動を行う用意はある
95%の国民が大統領の椅子を争うことのできない現行憲法は正当性に欠ける
 国際原子力機関前事務局長ムハンマド・イル=バラーダイー氏は、共和国大統領への氏の立候補により、エジプトの各党を賑わせている広範な議論に終止符を打った。本紙との単独会見にて、氏は、もし大統領選に出馬するなら、独立候補として出馬する、と確言した。
 イル=バラーダイーは、いかなる政党の下でも立候補しない、なぜなら、これを受け入れるということは、エジプトの政治活動上における、氏の言うところの「作為的な枠組み」に同意したことになるからであり、95%近いエジプト国民に大統領選への立候補を許さない枠組みの正当性を認めたことになるからだ、と述べた。
 またイル=バラーダイーは、オーストリアのウィーンからの電話会見で、こう付け加えた。「政党は尊重するが、わたしは独立的な人間で、独立候補としてしか大統領選に乗り出すことはできない」。自分は法律的な人間で、正当性を欠いた枠組みの中では、選挙戦や政治活動に法が存在しない、と示唆し、次のことを明らかにした。「憲法に沿う法と、正当性の間には、大きな差が存在する。国民の大多数に立候補を禁じているのでは、エジプトの憲法は法的正当性を欠いている」。またイル=バラーダイーは、主たる問題は個人ではなく、国の未来に関わることであり、氏の言う正統的な枠組みとは、エジプトが、近代性と公正さに拠って立ち、学問と政治活動と民主主義を高揚する、民主国家になることだ、と述べた。
 また、平和的で組織的な憲法改正運動行う用意があり、国民が不自由なく代表者を選ぶことのできない憲法の改正なしには、大統領選に乗り出すことはないことを、改めて確認した。改正が国民総ての願いである以上、「国民と共に歩み」、国民が憲法を変えられるなら、彼らに尽くすことができるだろう、と述べた。
 イル=バラーダイーは、大統領職は改革の用具である、と言い、「芝居を演じる気はないし、もし上手く行かなければ、死ぬまで状況の責を負う」と述べ、おそらく次の一月中旬にエジプトに戻ることを示唆した。
 エジプトにおける政党活動は、明白な不正に苦しめられており、政党委員会における政権党の支配下での政党間の競争に固執することで混乱し、エジプトは近代国家体制を実現する好機にあり、「エジプトが前進すれば、アラブ諸国全体が動き出すだろう」と述べた。何人かのアラブ人が彼に、エジプトが後退するなら我々も後退してしまうだろう、と言ったことを示した。
 イル=バラーダイーは、スウェーデン国籍を持っていることを改めて否定し、エジプト国籍しか持っていないことを確言し、この説を唱えているものたちは、率直さと精神において最低であることを表している、とした。

 「公正な選挙が条件」というのは、上手いカードを切ったなぁ、という感じもあります。これでイル=バラーダイー氏が立候補できなかったら、「不公正な選挙です」と公言しているようなものですし、立候補して「世襲候補」のガマール氏が当選しても、大方のエジプト人は納得しないのではないでそうか。
 ただ、「憲法改正」と名言してしまうと、これは大変に高い敷居で、現実的ではないかもしれません。それくらいの壁を越えなければ意味がない、という心意気なのでしょうか。現状では、独立系候補が認められない他、様々な制限で事実上「ガマール氏への誘導」のような仕掛けができてしまっているので、これを壊さなければ選挙も何もない、というはまったく正論なのですが。
 イル=バラーダイー氏は「エルバラダイ」との表記が定着してしまいましたが、どう聞いても「イルバラーダイ」くらいにしか聞こえないので、嫌味ったらしくこう表記しました。ちなみに、ムバーラク大統領閣下の次男のガマール氏は、「ガマル」と書かれていることがありますが、それではラクダです。

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