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アスワーンから戻り、ルクソールのOASISホテル、二度目の朝。
前日まで強行スケジュールだったので、この日は屋上で新聞でも読んでのんびり過ごそう、と思う。
気球にも興味があったのですが、500ポンドと物凄いお値段なので、諦めました。他の国で乗るよりは割安だと思うのですが・・・。
ちなみに、気球は以前はもっと安いものもあったのですが、事故が起こってから政府が介入し、一度に乗れる人数などを制限した結果、これくらいの価格に落ち着いたそうです。適正価格なのだと思います。
新聞ばかり読んでいると流石に飽きてきて、昼過ぎに街を散歩しに出かける。
ブラブラ歩いていると、イブラーヒームという男が声をかけてくる。いつものことなので適当に流していたのですが、アーンミーヤの会話が割りとリズム良くできて楽しかったので(こういうのは相性がある)、しばらく一緒に散歩することにしました。
ルクソール東岸の多くの通りは綺麗に整備された「観光用」ですが、ローカルのスークもあります。そういう場所でも、カイロに比べると道幅が広く、土地に余裕があるせいか、それ程雑然として見えません。
ちょっとギリギリの写真もありますが、敢えて載せてみます。

ルクソールのスーク posted by (C)ほじょこ

ルクソールのスークで posted by (C)ほじょこ
名前を失念してしまったのですが、ルクソール神殿に続く道路が、発掘・整備作業中です。

ルクソール発掘中 posted by (C)ほじょこ
西岸に家がある、という彼に誘われて、フェリーで対岸に渡ります。1ポンド。
ルクソール西岸は、非常に綺麗に整備されていて、少し歩くと小さな村落、そこから更に進むと田園風景と砂漠、と連なっています。
彼の村落は西岸降りてすぐのところでしたが、マイクロバスも走っていて、船着場から遠い村落もあるようです。
「ロバに乗せてあげる」というので、「まぁ商売なんだろうなぁ」と思いながら、不用心に家まで着いて行きます。小さな村落だし、何かあったら回りに筒抜けな一方、周辺住民が特に注目していないので、いつもこうやってロバビジネスをやっているのでしょう(「付いていく」行為は原則お薦めしませんが、常に悪い結果が出るわけでもないので、「第三者がそれを見てどう反応しているか」を注意深く観察すると良いです。あと、身体は鍛えとけw)。
家でお茶を頂戴しながら、家族の写真などを見せてもらったのですが、どうも彼の家は、この辺りでは裕福な様子。家の雰囲気も荒んでいません。父親がイギリスに行った写真や、ドイツ人写真家が作ってくれた写真集もあり、この辺りに来る欧米人と付き合って一儲けした印象があります。

ルクソール西岸の街路 posted by (C)ほじょこ
ロバは前から乗りたかったので、とにかく誘われるままに乗ってみることにしました。
小さなロバですが、足をかけるところがないので、慣れないと何かの台から乗らないと難しいです(慣れたらぴょんと乗れるのでしょう)。ラクダのように低くなってもくれません。
乗ってみると、トコトコ進む感じは、スーパーカブのよう。手綱の左を引くと左、右を引くと右、両方強く引くと止まる、のようです。その他に声や足で蹴ってスピードを操る方法も教えてもらえました。
今ひとつうまく制御できないのですが、とにかく通り沿いにトコトコ歩いてくれます。
自動車やバイクの場合、思い通りになる代わり、すべて人間が判断しないといけません。でもロバには常識があるので、壁に向かって突進したりはしません。ちゃんと道沿いに歩いてくれますし、対抗ロバが来たら自動で避けてくれます。

ルクソール西岸の田園風景 posted by (C)ほじょこ
「Yさんは難しいと言っていたけれど、意外と簡単やん」と調子に乗っていたのが、大失敗でした。
「イグリー!イグリー!」とか飛ばしていたら、ロバが段差か何かを避けようとした時、タタッと少しよろめくように歩き、バランスを崩してロバから落ちてしまったのです。バックを肩からかけたままで、しっかりロバをホールドしていなかったのもいけませんでした。
ロバの高さは馬やラクダに比べたら全然大したことはないのですが、下が思い切り固いアスファルトだったので、かなり痛かったです。
一応頭を打たないよう腕と背中から落ちたのですが、それでも十分キツイです。痺れるような痛みの中で、「柔道がアスファルトの上では最強というのはこのことですか・・」と、無意味に格闘オタクな台詞が脳裏をよぎって行きます。
イブラーヒーム君が慌てて駆け寄ってくるので「大丈夫」と言いますが、正直大丈夫じゃないです。指を一本ずつ動かし、肘、肩と動かすと、折れてはいないようです。一安心。
近所の人が氷を持ってきてくれたので、とりあえず冷やしました。
ただでさえも笑いものにされるロバから、さらに落ちたとなっては、面白すぎます。恥ずかしい・・・。
でも、ロバでこのダメージなら、馬やラクダから落ちたら死んでもおかしくないです。ロバで死なないで良かったです。せめて落馬で死にたいです。
この子がわたしを落としたロバ。

ルクソール西岸のロバ posted by (C)ほじょこ
ロバに文句を言うわけにもいかないし、気持ちのやり場がありません。
多分、慣れない人間が乗ったので、ロバもナメていたのでしょう。もしかするとわざと落としたのかもしれません。
まぁ、そりゃ人間なんて乗せたくないわな。畑耕したこともない日本人なんか、ダルくて乗せてらんないわな。わたしが逆の立場やったら、絶対脱走してるわ。
もう一度乗る気分にはなれなかったので、腕を冷やした後、一緒にロバを引いて西岸の田園風景の中をしばらくお散歩しました。

ルクソール西岸 畑の中の道 posted by (C)ほじょこ
彼の家でももう一度冷やし、ローカルフェリーまで送ってくれます。
案の定、ここで料金を請求されました。最初30ポンドと言ってきたので、20ポンドまで値切って決着。それでも高いのかもしれませんが、ロバ自体は楽しかったし、落ちたのは自己責任なので、そこは構いません。
ただ、こうした後から言ってくる商売の仕方は気に食わないので、普通にムッツリしていました。
まぁ、彼らも生活があるのでしょう。彼も申し訳なさそうで、一言値切るとすぐ応じてくれたし、ちゃんとバツの悪そうな顔をしていたので、許してあげます。
ホテルOASISに戻る。Yさんの友人で、同じくルクソール出身のエジプト人と結婚して、現在カイロにお住まいの女性と話す。元「同じ業界のずっと身分の高い方」で、柔らかい物腰から、人を使う人間の風格が感じられました。
この晩はバストイレ付きのダブルルームに泊めてもらえました。
この部屋は内装も綺麗で、エアコンまで付いていて、なかなかデラックスです。一人で泊まってすいませんねー・・・。
ロバから落ちる
ルクソール・アスワーンの旅