スイスでのミナレット建設禁止については、日本でも報道があったようなので、ご存知の方が多いと思います(こちらの記事で日本で報道されていることを知りました。ありがとうございます)。
エジプトでも大変話題になっています。

スイスの新聞記事 posted by (C)ほじょこ
スイス人がミナレット建設禁止に賛成
スイスの有権者は、新しいミナレット建設を禁止する右翼の呼びかけに59%の多数で賛成した。三つの問題を問う国民投票で、スイス有権者の半数が意見表明した。一つ目の問題は、ミナレット建設禁止で、二つ目はスイスからの軍事物資と兵器輸出の禁止、三つ目は国内航空運輸への財政支援に関するものだった。投票の数時間前、アムネスティは、ミナレット建設禁止は、スイスが信教の自由を損ねるという侵害を犯すことであり、スイスにおけるムスリムが信仰を表す権利を損なうものだ、と述べた。
アムル・ムーサーが早速動いてくれているようです。

ミナレットとアムル・ムーサー posted by (C)ほじょこ
ムーサー、「ミナレット禁止」問題で欧州法廷への訴えを求める
スイス人民党、半ムスリム・キャンペーンを拡大、ヒジャーブ禁止を訴えイスラーム地区での墓地建設禁止を広める
アラブ連盟は昨日、スイスにおけるモスクでのミナレット建設禁止の決定に反対し、事務総長アムル・ムーサーは、国際人権法廷および欧州法廷へ緊急の訴えを起こし、状況改善の必要性を訴えた。イスラーム世界の拡大に対するこの禁止への反対の声が続く中、議会で多数派を占める「右派」スイス人民党は、「スイスにおけるイスラームの普及」に対する計画の拡大を決定した。新しい計画には、ムスリムへの専用墓地建設禁止に加え、公共の場におけるヒジャーブ着用禁止が盛り込まれている。
ムーサーは昨日、在カイロ・スイス大使ドミニク・フォルギーを迎え、当地におけるモスクのミナレット建設を禁じた国民投票の結果に不快感を示し、これを「危険で否定的な前進」と表した。
事務総長は会見で「この振る舞いはスイスに住みイスラームを信じる者たちの権利に抵触するもので、彼らには、人権と国際憲章の基本理念に沿い、モスクで彼らの信仰を実践するすべての権利を有する」と述べた。
またムーサーは昨日、本件を巡ってスイス外務省に電話にて連絡を入れた。
また、ミナレット禁止計画の主たる提唱者である「右派」スイス人民党は、本件についての新計画を立ち上げ、当地のムスリムに対する禁止項目リストを提出した。
党の主要メンバーのアドリヤーン・アムストレッチ議員は、彼の党は、スイス社会における「地に這いつくばる信仰」により強く対抗するため、議会での訴えを強めていく、と述べ、「強制結婚、女児割礼、ブルカ、水泳授業の免除が、リストの先頭にある」と付け加え、党がムスリム専用墓地を禁止するつもりであることを示唆した。
アムル・ムーサーは、エジプトで大変人気のある人ですが、市民感情を素早く汲むセンスがあるところも一因かもしれません。
エジプト人F女史の他、アメリカ人の意見も聞く機会がありました(「アメリカではこんな禁止は無理」とのこと)。
F女史が「害のないものは禁止する必要がないのに、なぜ」と言うのに対し、わたしが「彼らにとっては『害』なんじゃないの? ヨーロッパ人は、信仰というのは内面のもので、形に表れるものはイヤなんじゃないかな。ヨーロッパのキリスト教徒のほとんどは名前だけだし」と言うと、面白い説明をしてくれました。
「もしイスラームが存在しなくて、わたしが単にヒジャーブをしていたら、そのことでとやかく言う人はいないだろう。だから、やはり問題はイスラームなのだ」。
いや、その通りです。同じ「外面」が別のものに由来していれば目くじらを立てないのだから、やっぱりこれは単にイスラーム嫌悪であって、外面とか内面とかいう問題ではないですね。
それとは別問題として、信仰が外的形象を持つことに対する嫌悪、という問題は、日本でも欧米でも存在すると思いますが。
ミナレットというのは、ガーマ(モスク)にある塔のことですが、アラビア語では「ミウザナ(アザーンをするための塔だからミウザナ)」で、「ミナレット」というのは英語です。
