朝起きて、発作的に朝食も食べずにヘルワーンへ。
ヘルワーンは二本開通しているメトロ(メトロといっても、市中心以外は地上を走っている)のうち、一つの路線の終点駅。一番南です。
ここに変な日本庭園がある、と『地球の歩き方』にネタ的に紹介されていたので、気まぐれで行ってきました。メトロはどこまで乗っても1ポンド(約20円)なので、激安で小旅行気分を味わえます。
終点に近づくに連れて人の数がどんどん減って、ヘルワーン近くでは、車両にはわたしと六人ずれの家族だけに。終点直前で、この家族のうち一番小さい子供が電車の揺れで思い切りコケて頭から出血して、お母さんが怒鳴り散らすは、そばにいたおねえちゃんがおびえるわ、妊娠しているらしい一番上のお姉さんがカリカリするわ、大騒ぎしていました。
郊外ということで、荒んだ場所をイメージしていたのですが、ヘルワーンは綺麗で住み易そうな街でした。カイロやギザほどの喧騒もないし、ニュータウンらしく道路も碁盤の目状でわかりやすいし、割と綺麗です(エジプト基準で)。
日本庭園(ハディーカティルヤーバーン)は駅から500メートルくらいの近所。『地球の歩き方』によると、昭和天皇が皇太子時代にロンドンからの帰路立ち寄った記念に造られたそうで、日本庭園と言ってもイタリア人と中国人が作ったので、「日本人が見ると中国風」とあります。
確かに、およそ「日本庭園」ではないのですが、中国風と言ったら、今度は中国人に怒られそうです。インドっぽくもあり、エジプト人とイタリア人と中国人が、なんとなく「日本ってこんな感じやろ」とテキトーに作ったパチくささに溢れています。
超怪しいエジプシャン・アジアをご堪能ください。






ラマダーン直前の金曜日のせいか、アザーンの時間でもないのにそこら中のジャーミゥからクルアーンや説教が大音量で流されていて、それが変な仏像、昼寝するエジプト人と野良犬とミックスされ、異次元空間を作り上げていました。
普通の観光客は絶対行かないし、行かない方がいいと思いますが(笑)、モノ好きな方は、暇で暇でしょうがない時に立ち寄ってみてもいいかもしれません。
もう一つの「東京庭園」は、駅の南の方の10月6日公園の中にあります。
大した距離ではないのですが、丁度一番暑い時間帯で、さらにこの10月6日公園が結構大きくて東京庭園の場所がわからずウロウロしてしまい、例によって熱射病状態でヘロヘロでした。
こちらの東京庭園は一応それっぽい形になっていますが、規模は大きくなく、逆に普通で面白くありません。


グッタリしていたら、おっちゃんが話しかけてきます。
「オートビス(バス)で送ってやる」「日本人と働いている」みたいに言っているのですが、相変わらずヘボヘボのアーンミーヤ力に加えて朦朧としていたので、よく聞き取れません。どうせぼったくりタクシーか何かだろうと思って「歩くからいらん」と言い続けていたのですが、おっちゃんが「暑いから大変だ、金はいらん」と引きません。
半信半疑でついていったら、庭園内に綺麗な車があって、本当に駅まで無料で送ってくれました。エジプトに来て初めてエアコンのついた車に乗りました。
考えてみると、10月6日公園は有料公園で、中で働いている人間以外が車で入ることは不可能です。そして「日本人と働いている」というのは、東京庭園の管理をしている(本当に日本人スタッフもいるらしい)という意味だったようで、おっちゃんはいい人だったのでした。疑ってごめんね。携帯の番号はしつこく聞かれたけど・・。
そう言えば、おっちゃんが携帯電話のことを「トランク」とか呼んでいたのですが、そういう言い方もあるのでしょうか。あれは「モーバイル」とか「ティリフーン」とか「ハーティフ」とか「ジャウワール」とか色んな名前で呼ばれていますが、また新しい呼び方に出会いました(先生に尋ねたところ、トランクというのは国際通話のことで、電話の呼び名ではない、と言っていました)。

10月6日公園の観覧車 posted by (C)ほじょこ
ヘルワーンの日本庭園と東京庭園
エジプト留学日記