起床、朝食、宿題。またいつものルーチンに戻りました。
昨日、というか今朝の明け方近くまで起きていたので、勉強し始めてもちっともはかどりません。結局宿題を少し残したまま、授業前に少し仮眠を取りました。
今日は週に一度のアーンミーヤの日。今日からエジプト方言の教科書を使い始めましたが、振り出しに戻ったような初歩的内容で、ちょっとションボリします。実際、エジプト方言は初心者なので、仕方ないのですが・・。
授業はアーンミーヤの表現をフスハーで解説してもらう形で進んで行きますが、自分が喋るとどうしてもフスハーになってしまいます。文法的にはアーンミーヤの方がずっと簡単なはずなのですが、今までフスハーしか勉強してこなかったのですから、どうしたって自然には出てきません。「タシュキールは全部スクーンでいいんだ!」って、今まであんなに一所懸命やってきたタシュキールは何だったんですか・・。
アーンミーヤには「正書法がない」と言われていますが、この教科書はすべてアラビア文字表記で構成されています。この表記が定番と言えるのかわかりませんが、一応文字に書けないというわけではないようです。ただ、文字と発音の乖離が激しいので、ラテン文字表記を使っている教科書を見かけるのも納得できます。
一方で、発音の方に忠実にラテン文字表記(あるいはアラビア文字表)してしまうと、今度は語根等の由来がわからなくなってしまい、それはそれでわかりにくい「根無し草言語」になってしまいます。
こういう悩みは多くの言語が体験したきたものでしょうが、日本語の言文一致のように、強引に口語に文語を合わせてしまうのは非常に危険です。言語のルーツが切断されることは、その言語の原理が失われ、造語能力を奪われることですから、結果として言語文化の衰退につながることが容易に想像されます。
フスハーとアーンミーヤの関係が今後どうなっていくかはわかりませんが、日本語の二の轍を踏むのだけは絶対に避けて頂きたいです。
みんなの会話についていきたいので、エジプト方言の聞き取り能力は何とかしたいですが、正直、フスハーの方がずっと好きです。こんなカッコイイ言語は地上に存在しないんじゃないか、というくらい、美しいと思っています。アラブ人がみんな日常からフスハーを喋ってくれたら、「アラブは一つ」の理想にとっても、外国人にとっても、素晴らしいことではないかと思うのですが、そんな都合良くもいきません。
救いなのは、フスハーが苦手なエジプト人でも、「フスハー好き?」と聞くと、必ずといって良いほど「もちろん!」と目をキラキラさせて答えることです。それも「信仰の言葉」としての礎があるからでしょうが、この愛のある限り、フスハーは永遠に不滅でしょう。少なくともそう信じたいです。
今日は夜ちょっと散歩した以外ほとんど宿からも出ず、代わり映えのない一日だったので、小ネタをいくつか。
昨日見学した戦争博物館ですが、巡回して外に出たところに、本物の戦車や戦闘機が並べられた公開展示があります。そこで東洋人の男の子二人連れに「写真を撮ってくれ」と声をかけられました。中国人か韓国人に見えましたが、もしかすると東南アジア系かもしれません。
「いいよ」とカメラを借りようとしたところ、「そうじゃない」と言います。二人の写真を撮るのではなく、彼らのうちの一人とわたしのツーショット写真を撮りたいらしいのです。
エジプトくんだりまで来て、なぜ戦車を背景に日本人と写真を撮りたいのかさっぱりわかりませんが、別に問題もないので、「?」な顔のまま写真を撮られました。
後で先生に話したら「それは北朝鮮の工作員だな!」と冗談を言っていました。
その戦争博物館のあるシタデルの入り口では、荷物チェックされるのですが、その時警官に「英語は話せるか?」と聞かれて「yes」と答えているのに「本当か? お前本当に日本人か? なんか変だな?」と妙に疑われました。薄汚いバックパッカーでもないし、典型的な日本人だと思うのですが、一体何が怪しかったのでしょう。「日本人だって、何がおかしいの?」とフスハーで言ったら、笑って通してくれたので良かったですが、何を疑われたのか気になります。後で先生に「カメラは持っていたけど、メガネをかけてないのがいけなかったかな?」と言って笑い話になりました。
全然関係ない、エジプトの携帯電話のお話。
プリペイド式の携帯電話を使っているのですが(プリペイドが主流のようですが、もしかするとこのタイプしかないのかもしれません)、メールの入力方法が日本と少しだけ違います。日本と同じく、各キーにいくつかの文字が割り当てられていて、何度か押すことで目的の文字を入力するのですが、タタタッとすばやく連打しないと、「文字選択」と認識されず、複数の文字が入ってしまいます。
たとえば一つのキーに「ABC」が割り当てられていたら、Cを入力するには三回押す必要があります。すばやくやればちゃんと入るのですが、ゆっくりやっているとAが三回入ってしまうのです。
この認識速度は設定で変えられるのかもしれませんが、不慣れなので意味不明な文字をよく入れてしまって難儀します。というか、もしかして日本の携帯でもエジプト式の入力設定ができるのでしょうか。アラビア語以前に携帯電話に疎くてよくわかりません。
ちなみに、この電話は表示をアラビア語と英語で切り替えられて、わたしはアラビア語表示で使っているのですが、エジプト人のDさんは英語モードにしていました。「日本人がアラビア語を使って、アラブ人が英語を使ってるよ」と二人で笑いました。
そういえば、日本で会ったレバノン人のPCも、英語入力しかできませんでした。日本人のわたしはアラビア語入力をインストールしているのに、ちょっとションボリします。
夜、Dさんと電話でちょっと話す。フスハーで言おうとしたことがうまく出てこなくて、やむなく英語で言おうとしたら、英語でも言えなくてショックを受ける。
アラビア語も大して上達しないうちに、英語を忘れてきているみたいで、この勢いで日本語も忘れると何も喋れない人になってしまいそうです。
英語も勉強しないと・・
アーンミーヤの表記法、エジプトの携帯電話のメール入力
エジプト留学日記