カイロにはなぜ自転車が少ないのか

 起床し朝食、そのまま宿題をこなす。既にルーチンができてしまっています。
 調子が上がらず、しょっちゅうマタァムの人が話しかけてきて中断させられるので(でも楽しい)、四時間くらいかかってしまう。
 webにつなぐ気にもなれず、部屋に戻って仮眠をとって、パンを少しかじってから授業へ。
 A先生とはカリグラフィに関する文章の続き(予想通り終わらなかった)、M先生とは幸福に関する文章の続きをやりましたが、なんだか鬱ぎみで楽しい話題がないので割愛します。
 M先生と「カイロに住んで勉強を続けたい、働きながら勉強することはできないだろうか」「一番問題なのは日本の部屋の家賃だ。ダーリンと一緒に住んでたら、半分分の家賃くらいなんとかなりそうだけど」みたいなことを話す。結婚前に同居するようなことはエジプトではかなりとんでもないことですが(日本だってちょっと前までそうだったでしょう)、彼らは日本や西洋の事情をよく知っているので、特に非難するようなこともありません。カイロでも月500ドルくらいの仕事なら探せそうだし、それだけあればこちらでの生活は何とかなりますが、日本の住まいを同時に維持するのは無理です。あ、授業料も厳しいですね(笑)。
 ダーリン同居してくれないかなぁ。でも、同居した途端にカイロに旅立っちゃったらいくら何でも酷すぎるかな。それはそれで一人暮らしを満喫してそうだけど。
 わたしが元気がないので、授業の後M先生が「ちょっと散歩しよう」と誘ってくれます。近所をぶらぶら歩いてホテルに戻り、メールだけ確認した後、もう一度外出して晩御飯をかじる場所を探す。
 周辺の地理はもう把握しているのですが、一番近い繁華街が余りに喧騒が激しく、今ひとつ好きになれません。ウストゥルバラド(街の中心部、タフリール広場とかあっちの方)は、繁華街と言っても多少洗練されていて、可愛いカフェとかもあるのですが、わたしの滞在地の近くはジモピー向けの店ばかりで、あんまり豊かな地区ではないそうです。下町なわけですが、カイロ中心部の「古い下町」ではなく郊外の下町なので、まぁ日本で言えば浦安みたいなポジションではないでしょうか。荒れてるわけです(笑)。
 ぶらぶら歩いていると小さな男の子が二人話しかけてきます。わたしがカメラを持っていたので「撮ってくれ」と言っているのです。何枚か撮って見せてあげると、喜んでデジカメのボタンをあちこち押しています。うっかりdeleteしそうになっていたので、慌てて取り上げました。
 こちらの言うことは、少なくとも単語レベルでは通じるのですが、向こうの言葉がわかりません。やっぱりアーンミーヤをもっと勉強しないと、いつまで経っても先生や知識人としか会話できません。フスハーが通じず、さらに英語もできない子供とかおっちゃんとかになると、アーンミーヤ以外にコミュニケーション手段がないです。
 そばにいたひょろっとした優しそうなおじさんが、フスハーぎみの言葉を使って子供との通訳をしてくれます。子供が「中国人?日本人?」と言うので「日本人だよ」と言うと、「女優?」と聞いてきます。おじさんが笑って「普通の人だよ、女優じゃないよ」とツッコんでいます。子供にとっての日本人って何なんでしょう・・。
 ともかく、この子供たちとの出会いのお陰で、この日一日の鬱々とした感じが一気に吹き飛びました。嬉しくてせっかくいい気分で歩いている時に、しつこくナンパしてきた自称クウェートのソーシャルワーカーのことは、不問に付してあげましょう。
 最近気づいたのですが、カイロ市内では自転車をほとんど見かけません。
 屋台を引くのに利用している自転車はありますが、それは巨大な荷物を運ぶのを助ける車輪というだけで、乗ってスイスイ漕ぐようなノリではありません。
 なぜだろう?と思ってM先生に質問したところ、「エジプト人は、車が買えたら何としても車を買おうとするんだ。自転車に乗っていたら貧しいと思われると考えているんだ」と言います(一昔前までみんな自転車に乗っていたそうです)。「日本では車が買えても自転車に乗って、他のことにお金を使う人が沢山いるよ」と言うと、「それは考え方の違いだろう。車はお金がかかるし、わたしも子供の教育などにお金をかけた方が良いと思うが、ほとんどのエジプト人はそうは考えないんだ」と言います。
 カイロ市内の交通渋滞の酷さを考えると、自転車はかなり有効な交通手段ではないかと思うのですが、なかなか複雑な事情が絡んでいるようです。
 屋台を引いている自転車といえば、この間、男性が押している屋台車をよく見てみたら、屋台の荷物を入れるところに赤ん坊が入って眠っていました。そうやって子供を連れて商売しているのです。子連れ狼みたいですが、笑い事じゃありません。
 結局、晩御飯はピザやらサンドイッチやらを出している地元系ファストフードのような店で食べました。わたしは日本では肉をまったく食べないのですが、エジプトだとそれでは食べるものが制限されすぎます。魚もあるにはありますが、大抵フライで、鮮度も今ひとつです。この日はサラダと鳥レバーのサンドイッチで終わらせました。エジプトならハラールだろうし、特別に自分に許可します。
 味はホテルの朝食の方がずっとマシでした。
 ホテルに戻り、もう一度ネットをチェックする元気もなく、のろのろとシャワーを浴びて、バタンと就寝。はぁ。わたしの休日はいつやって来るのでしょうか。服買いたいよぅ。
 そういえばエジプトってピラミッドとかあるのよねぇ・・。

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