カイロのマクドナルドでは子猫が観葉植物で爪を研ぐ

 シティバンクからお金が引き出せない問題で、二度も別のシティバンクを巡る羽目になり、一緒に出された使いの子みたいなのが要領が悪くてタクシーを降りた後に炎天下を延々と歩く羽目になる。その他色々バッドすぎて書きたくないので割愛します。とにかく合わない人間とは合わないということです。
 帰りにアウラード・ラギブに寄ってダイエットペプシを購入。日本では0キロカロリーと書いてあったはずですが、100mlあたり1キロカロリーとあります。日本の法律では一定以下のカロリーの場合は0と表示して良いので、「0カロリー」を称しているものも、いくらかは熱量が含まれているはずです。エジプトでは、表示についての法律がもうちょっと厳しいのかもしれません。それとも、エジプト人が甘いもの好きなので、敢えて1キロカロリーと書いているのでしょうか。
 とにかく朝から忙しくて、宿題をする暇もなく、前半のA先生の授業が始まります。A先生はお年を召された方で、なんだか可愛いおじいちゃんみたいで、すごく癒されます。わたしが困った体験を話しても優しく共感を示してくれるし、とても暖かい人です。わたしが教わっている何人かの先生の中では、一番アーンミーヤが混ざりがちで、そういうところも可愛いです。英語はすごく下手です。フスハーの先生のくせに「授業は終わったし、アーンミーヤで喋ろうか」とか言っちゃう可愛いおじちゃんです。
 後半のM先生は一転して若手で、学校のエース教師らしいです。実際、この人の教え方は正確かつ分析的で、かなりのペースでパンパン応えていくことを要求されます。体力的になかなか消耗しますが、その分得るものも多いです。
 今日は日本の少子高齢化と外国人労働者受け入れの問題を話しました。わたしは人口が減ること自体は問題ではなくむしろ歓迎すべきことだと思っているのですが、一時的に人口バランスが崩れ、高齢者を支える勤労人口が不足するのは、確かに問題です。では移民を受け入れれば良いかと言うと、ヨーロッパの例を見る限り、かなり慎重になる必要があるでしょう。ただでさえも失業率の高くなっている日本です。下手をすると新たな外国人差別の火種にもなりかねません。個人的には、移民受け入れ自体は早晩避けられなくなるし、「日本人」の人種的・言語的多様性が高まることは歓迎したいくらいですが、ゆっくり慎重にやっていかなければ、必ず将来に憂いを残す結果になると思います。
 授業の後で友達になったDさんとお茶をする。Dさんと遊ぶことには先生方は二人とも心配してくれていて、それも当然だと思うのですが、どうにもそんな小ズルイ人に見えないので、「一時間だけ」とお父さんみたいなA先生の許可を貰って会いました。別に他愛のないお喋りをしているだけなんですけれど、心配されるのももっともだし、夜に会うのはやめようと思っています。まぁ、夏のカイロは夜の二時三時まで子供でも遊んでいるんですけれど・・。
 一緒に新聞を読んでアラビア語を教えて貰ったり、日本語の挨拶を教えたりしていました。おままごとみたいです。「日本語は会話は割と簡単だけど、新聞を読むにも二千くらいの文字を覚える必要がある」と言ったら、唖然としていました。「日本の子供はみんなヒーヒー言いながら漢字を覚えるんだよー」。
 ちなみに、観光客を狙ったセコイ商売とか詐欺とか客引きはしつこいですが、強盗のような暴力的事件はあまりないようです。女一人でも要領さえわまえ慎みをもっていれば、普通に夜の街を歩くことができます。ニューヨークなんかとは全然違います。エジプトに行くというと「テロは大丈夫?治安悪いんじゃないの?」と心配してくれる人がいますが、テロなんか日本の地下鉄でも起こるし、夜の街の危険度はせいぜい新宿程度だと思います。そんなことより交通事故に気をつけないといけません。
 街中では遊び用の馬車が沢山出ていて(日本の観光地の人力車みたいなノリ)、ただでさえ無秩序な交通が更にぐちゃぐちゃになっています。そういう道を携帯で話しながら車の間を潜り抜けていくエジプトのおばちゃんは凄いです。でも、この短い間にわたしもすっかり要領を得てしまい、道を渡るのは全然問題なくなりました。
 所々に立っている警官が、肩に自動小銃を担いでいます。「あれは軍人?」と聞くと「警官だ」と応えます(ドゥッバートなのでやっぱり軍人という理解で良いのかもしれません)。カイロの市中は喧騒が絶えませんが、凶悪犯罪が多発するような状況ではないし、自動小銃は大げさすぎる気がします。訳あって平均的に日本女性よりかなり銃に詳しいのですが(笑)、ストックを切ったAKの場合が多いです。実際に使う機会はまずないと思いますが、やはり威圧的なシンボルが立っている必要があるのでしょうか。
 夜中のマクドナルドの脇で、痩せた子猫が観葉植物の幹で爪を研いでいたのがめちゃくちゃ可愛かったです。
 馬でもロバでも猫でも犬でも、動物を見ると異様な関心を示してしまうわたしを、いつもエジプト人が「アホちゃう」という目で見ています。

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