Middle East Hotelの朝とナイル川プチクルーズ

 一夜明け、Middle East Hotelでカイロ最初の朝。といってもあんまり寝ていません。
 昼間でも日陰にいれば、思ったほど暑くはありませんが、まぁやっぱり少し汗くらいはかきます。
 一階の食堂の朝食がもう終わっていたので、五階のオープンテラスのようなところで朝食。山ほどパンが持ってこられますが、いくつかかじっただけで十分。ホテルのチーフみたいな人?が親しげに話しかけてきて、つい話し込んでしまいます。アラビア語を喋るので驚かれましたが、そんなに上手でもなく、向こうもフスハーは苦手なのか、結局英語になってしまいます。
 結婚式場を見せてもらいました。ピカピカに電飾がセットされて、アラブっぽい派手可愛い式場です。何度も「結婚してるのか? 恋人は日本にいるのか?」とか聞かれましたが、これはエジプトに行った全女性が無数に経験する質問でしょう(笑)。
 ちなみにわたしは未婚ですが、普段は恋人にもらった指輪を左手薬指にしています。エジプトでは男避けにちょうど良いのですが、文字通り「結婚している」と取られてしまうので、婚約の印として右手にしていこうとつけかえてみたところ、右の方が微妙に太くて断念しました。ショックです。
 というわけで、カイロでも結婚ポジションに指輪をしていますが、何か聞かれたら「婚約している(マフトゥーバ)」と答えています。これで大体面倒はクリアできます。
 学校の関係者の方と移動して、滞在先を探します。といっても候補のホテルがあって、部屋を見たらちょうど良い広さで、Middle East Hotelほど郊外でもなく値段も少し安めだったので、そこで手を打ちました。
 清潔で居心地の良い部屋ですが、エレベータにドアがないのがすごいです。廊下側にはドアがあるのですが、エレベータの箱側にはドアがついていません。つまり、移動している時はエレベータの筒の内壁が見えている状態です。廊下側のドアも手動です。最初何回か、エレベータが到着しているのに気づきませんでした。危なっかしそうですが、ちゃんと正常動作しているだけでもすごいのかもしれません。
 このホテルは無線LANが使えますが、電波が届くのグランドフロア付近だけらしく、わたしの部屋からは接続できませんでした。
 この日は宿探しだけで勉強は翌日からだったので、急に暇になってしまいます。今から市街に行くのも面倒だし、近所を散歩に出たのですが、余りの暑さにすぐ退散。
 ホテルのレストランでぼさーっと本を読んでいたら、若いウェイターが話しかけてきます。暇なので他愛もないことをおしゃべりしています。しきりに色々なものについて「これは日本製か?いくらだ?」と聞いてきます(ラップトップについては、最初の二日だけで三四人に聞かれました。安物なのですが)。ペンに興味津々だったので、一本進呈しました。
 日本製のペンが重宝されるというのはもう地方だけで、カイロではそんなもの誰も欲しがらない、と聞いていたのですが、彼にとっては魅力的だったようです。個人的な趣味かもしれません。
 夕方にS先生から電話がかかってくる(携帯を貸して貰っています)。二時間後に迎えに行くというので、涼しくなったところでまた散歩に出て、水を買う。
 ブラブラしているといつものナンパがやってくる。左手薬指の指輪も効かない! こっちも歩いているものだから、一緒に歩いてどこまでもついてきます。まぁ暇つぶしに散歩しているので良いのでけれど、ちょっと鬱陶しいです。「五分だけ!」と何度も言うので「五分はもう経ったよ」と言うと、苦笑いして「もう五分!」。そのエネルギーをもうちょっと他のことに向けようよ・・。
 やっと説得してバイバイしようとすると、キスしよう、ホッペだから大丈夫、とか言ってくる。あぁ、最初に相手したのが間違ってた。「日本人はそういうことしないんだ!」と言うと「ここはエジプトじゃないか」と言う。「エジプト人もしないやろ! というか、エジプト人こそそんなこと男女で絶対しない! 嘘つき!」と言い返したら、やっと諦めてくれました・・。
 ちなみにこの会話はほとんど英語。自分のアラビア語力のショボさにガッカリします。
 先生が迎えに来てくれて、ナイル川までタクシーを飛ばす。ほんと、タクシーから見る風景がカーレースのゲームです。スリルが欲しい人はカイロで運転すると良いと思います。わたしが運転したら二時間以内に死ぬか人を轢き殺す自信があります(笑)。
 ナイル川には大きいのから小さいのまで、遊覧船のようなものが浮かんでいるのですが、小さな船を一時間くらいだけ借りて遊んでくれる。サービスしすぎでしょ。手を取られて船に乗ったりして、お姫様にでもなった気分です。川の眺めは本当に素晴らしくて、正直ポワーンと夢心地です。一応勉強しに来たのに、思い切り遊んでます。先生とは断固フスハーで会話するので、練習にはなっているかもしれませんが・・。
 船上結婚式のような楽しそうな船、巨大な遊覧船المطعم العائم(泳ぐレストラン?)、モーターのついていない帆船など、様々な船が航行しています。遊覧ではなく実用的な「水上バス」も航行していて、政府が運営しているそうです。
 帰りに橋に座ってフンモス(ヒヨコマメ)を食べる。日本の枝豆みたいなノリ。ナイル川にかかる橋には「椅子屋さん」みたいなのがいて、涼みたい人に椅子を貸す商売をしています。
 造花売りのおじさんがやってきて、先生が買ってくれる。おじさんのトークが面白かったので、買ってあげたみたいです。「この子はアラビア語わかるよ。フスハーの勉強に来ているんだ」と先生が言うと、おじさんが綺麗なフスハーで「どこから来たの?日本?日本は大好きだ、柔道のマフムードが有名だろう」という話を流麗に語ったのです。実際面白い話だったので、トーク商売で一本取った感じです。わたしは知らなかったのですが、先生によると「日本でも有名」だそうです。恥ずかしい。
 シティバンクのカードでお金を引き出そうとしたところ、エジプトポンドでしか引き出せず、困り果てる。どうやったらドルを手に入れられるのだろう。みずほ銀行があるらしいので、そっちで今度もう一度やってみる。結構焦る。

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